「リン」を摂り過ぎていませんか?|管理栄養士マチコ先生のスマートコラム

リンは生命活動において大事な栄養素
皆さんは、ミネラルの「リン」はご存知ですか?
今までは注目度の低い栄養素でしたが、我々専門職の間ではリンについて語られることが増えてきま
した。
体内において最も多く含まれているミネラルはカルシウムで、次に多いのがリンです。リンは、カルシウムと共に骨や歯の硬度を維持しています。
さらに生きていく上で必要不可欠なエネルギー、アデノシン三リン酸(ATP)を構成する大事な成分。私たちは約37兆個の細胞でできていますが、リンは脂質と結合しリン脂質となって細胞膜の材料となり、DNAやRNAなど核酸の構成成分とし細胞に存在しています。
生命活動においてリンは、大事な栄養素だということよがく分かりますよね。
ところが現代の食生活においてリンは過剰摂取に陥りやすく、体への弊害が危惧されているのです。
健康リスクとリンの過剰摂取
リンとカルシウムは血液中でバランスを保っています。リンを摂り過ぎると血液中のリン濃度が上昇し、このバランスが崩壊。バランスを保持するために骨に蓄えられていたカルシウムが、血液中に流出されます。すると骨のカルシウムが減少し、骨がもろくなってしまうのです。
また、血液中のリンが石灰化を引き起こしたり、カルシウムやたんぱく質と結合して血管を傷つけ、炎症を起こしたりするため動脈硬化の原因になります。
食品に含まれているリンには「有機リン」と「無機リン」があります。有機リンは肉や魚、卵、豆類などに含まれ、無機リンは多くの加工食品に食品添加物として使用されています。
食品添加物に多い無機リンの吸収率は90%以上で、天然の食品に含まれる有機リンの吸収率は、動物性食品で40〜60%、植物性食品で20〜40%。圧倒的に無機リンの方が吸収されやすく、血液中のリン濃度を容易に上昇させてしまうのです。無機リンが多い加工食品の摂取頻度が増えている現代は、簡単に過剰症になりやすいと言えるでしょう。
食品添加物としてのリン
食品添加物としてはリン酸塩、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸などがあります。原材料の表示を見るとリンの記載があるので、使用されているかどうかは分かりやすいです。
リン酸塩に関しては、ミネラルの「亜鉛」の吸収も阻害します。亜鉛が欠乏すると免疫力の低下、味覚障害、肌荒れ、抜け毛、性ホルモンや認知機能にも影響を与えます。
健康投資のためにもハムやソーセージなどの加工肉、練り物、インスタント麺、菓子類、清涼飲料水、ファストフードなど加工食品の頻度や摂る量を今一度、見直す必要があるでしょう。

【 プロフィール】
- お食事のカウンセリングサロン「colan」代表
- 管理栄養士・料理家・コラムニスト
【 経歴 】
- 北海道北見市出身
- 天使女子短期大学(現 天使大学) 食物栄養学科 卒業
- 食事指導の企業で食事相談業務を行う
- 雑誌の編集者として取材、文筆業を行う
- 大手料理教室の料理講師として和洋中全般、美容に関する料理を教える
- 高齢者施設では栄養科長/管理栄養士として多くの実績を積む
- 現在はフリーランスの管理栄養士として活動中
- 2020年よりオンライン食事カウセリングを開始
- 2021年よりスマートチェーンでのオンライン食事指導を開始
